在宅で腹水穿刺ってできるの?【前半】
こんにちは、ホームケアクリニック麻生の井尻学見です。
当院では、必要な方には在宅で腹水穿刺をおこなっています。しかし、腹水穿刺にはリスクも伴うため、安易に行うことはしません。今回は、在宅での腹水穿刺について、お話します。
腹水穿刺のリスク
お腹に水が溜まると苦しい、痛い、ご飯が食べられない等の苦痛症状が出ます。
「水が溜まって苦しいのであれば抜けば良いのではないか」
そう思われる方もいるかと思いますが、腹水穿刺には大きなリスクがあるのです。
①内臓損傷や出血
腹腔内に針を刺して腹水を抜くため、内臓損傷や出血のリスクは一定程度あります。このため、当院では腹部超音波で、腹水や内臓の状況を確認して、穿刺を行っています。
②血圧低下
腹腔内圧が低下することで、急激に血圧低下が起こり、ショック状態になることもあります。腹水穿刺をしている最中は、血圧測定などバイタルチェックをおこない、慎重に進めていきます。
③栄養状態の低下
腹水には、アルブミン(タンパク質)などの栄養分が入っています。栄養状態が悪化すると腹水がたまりやすくもなるため、腹水を抜かなくて良いのであれば、なるべく抜かずにお薬でのコントロールの方が良いのです。
④感染リスク
腹水穿刺をおこなう際は、消毒をし、きれいなシートで覆って針を刺します。感染には、非常に注意していますが、病院の処置室で穿刺するよりは在宅での穿刺の方がどうしても感染リスクは高くなってしまいます。
このように腹水穿刺にはリスクが伴います。
では、在宅で腹水穿刺をしている方はどのような方なのでしょうか。
次回、当院では、どのような方が在宅で腹水を抜いているのか、お話します。
ホームケアクリニック麻生の井尻学見でした。