北海道民のがん罹患率が全国平均超え!【後半】
こんにちは、ホームケアクリニック麻生の井尻学見です。
前回は、在宅医療におけるがん患者さんについて、訪問診療の役割などをお話ししました。今回は、実際にお会いした印象に残っているがん患者さんについてお話します。
最期まで自分らしく -在宅での看取りー
仕事を愛し、社員の生活を支え続けた一人の社長がいました。病気が進行し、ICUに入院するほどの状態になっても、「会社のことが心配だ」「まだやるべきことがある」と最後まで経営者としての責任を全うしようとしていました。しかし、病院のベッドの上で過ごす時間が増えるにつれ、彼はある決断をします。「病院ではなく、自分の家で最期を迎えたい」——それが彼の願いでした。
自宅に戻ってからの日々は、まさに彼らしいものでした。食べることが大好きだった彼は、最期までステーキを頬張り、フルーツを楽しみ、美味しいものを見つけては食べ続けました。食事を楽しむことが生きる力になっていたのでしょう。その姿は、まるでいつもと変わらない日常のようでした。
病気が進行しながらも、会社の経営を続けようとする彼を支えたのは、社員たちでした。「社長が安心して過ごせるように」と、彼らは変わらぬ敬意を持ち、彼を見守りました。そして、家族もまた、最期の時間をできるだけ穏やかに過ごせるよう、寄り添い続けました。病院では得られない温かさに包まれながら、彼は静かにその時を迎えられたのです。
「病院で最期を迎えるのが当たり前」という考え方は、少しずつ変わりつつあります。在宅医療の発展により、自宅で家族に囲まれながら、自分らしく最期の時間を過ごすことが可能になっています。この社長のように、「自分の好きなことを楽しみながら、大切な人たちと共に生き抜く選択ができること」それこそが、在宅での看取りの大きな意義だと私たちは考えています。
当クリニックでは、患者さんとご家族が「最期まで自分らしく」過ごせるよう、全力でサポートいたします。どのような選択肢があるのか、どんな準備が必要なのか、不安や疑問があればいつでもご相談ください。
「自分らしい最期を迎えるために、私たちができることを。」
ホームケアクリニック麻生の井尻学見でした。