訪問診療は今後どうなる?業界の未来予測
こんにちは、ホームケアクリニック麻生の井尻学見です。
高齢化が進む日本において、今年1月1日時点の北海道の人口はおよそ500万人ですが、そのうち65歳以上は約300万人と、全体の6割近くを占めています。
(参考:北海道の高齢者人口の状況)
では、これから訪問診療はどうなっていくのでしょうか?
今回は、都市部と地域での現状や課題について考えてみたいと思います。
都市部集中と札幌でのニーズ拡大
訪問診療の普及は、全国一律に進むわけではありません。都市部から広がっていますが、今後も、特に、都市部への医療資源の集中が進んでいくのでは・・・と考えています。人口密度が高い都市では、その利便性から人口流入が起こりやすく、患者さんとしても医療・社会資源のある都市部へ集まりやすいのではないでしょうか。
札幌もその「都市部」のひとつです。高齢化に加えて、単身世帯や慢性疾患を抱える方が増えていることから、訪問診療の必要性は今後ますます高まっていくと感じています。
地域の人口減少と人材確保の問題
一方で、都市部以外の地域では人口減少が進み、医療資源を維持すること自体が大きな課題となっています。人口が減るということは、患者さんの数だけでなく、医療や介護に従事する人材の確保も難しくなるということです。地方の医療機関では医師や看護師の不足が慢性的であり、訪問診療を支える体制をつくること自体が困難になる地域も少なくありません。
訪問診療は「地域で暮らしを支える医療」として期待される一方、担い手がいなければ実現できません。今後は都市部と地域の格差が広がらないように、地域全体での人材育成や医療資源の再分配が求められるでしょう。
病床数減少と在宅医療の役割
国の方針としても、これから日本の病院は病床数を減らしていく流れにあります。急性期の治療を除けば、できるだけ病院の外で医療を完結させようという動きです。これは、医療費を抑えるという面だけではなく、患者さんがより自分らしく生活するという面も大切にしています。
そうした中で、地域での医療を支える存在として訪問診療が期待されているのです。退院後の療養支援や慢性疾患の管理、がんの緩和ケアなど、訪問診療でできることは年々広がってきています。これからは病院頼みではなく、地域で暮らしを支える医療として存在感を増していくでしょう。
まとめ
都市部ではニーズ拡大、地域では人材不足と、訪問診療はエリアごとに異なる課題を抱えています。しかし共通するのは「地域で暮らしを支える医療」としての必要性です。次回は、経済的な課題や未来への展望について考えてみたいと思います。
ホームケアクリニック麻生の井尻学見でした。
