訪問診療と往診のちがいって?
こんにちは、ホームケアクリニック麻生の院長、井尻学見です。
在宅医療についてお話しするとき、患者さんやご家族から次のような質問をいただくことがあります。
「訪問診療と往診って、同じものなんですか?」
「定期的に来てくれるのと、具合が悪いときに来るのは何が違うんですか?」
病院に通う医療とは違い、自宅で医療を受ける仕組みは、なかなかイメージしづらいものです。今回は、在宅医療の中でも混同されやすい「訪問診療」と「往診」の違いについて、わかりやすくお話しします。
訪問診療とは「計画的に診る」医療
訪問診療は、あらかじめ診療計画を立て、医師が定期的に患者さんのご自宅や施設を訪問する医療です。当院では、病状に応じて月に2〜4回など、定期的に診察を行い、体調の変化がないか、薬は適切か、生活で困っていることはないかを確認します。
体調が比較的安定していても、通院が難しい方にとって、継続的に医療を受けられることは大きなメリットです。また、定期的な関わりによって病状の変化を早めに察知でき、結果として入院を防ぐことにもつながります。
<参考>
なぜ当院の訪問診療は「月2回」なのか―在宅医療の現場から見える本当の理由―
往診とは「緊急時に駆けつける」医療
一方、往診は発熱や呼吸苦など、急な体調変化があったときに行う臨時の診察です。「熱が急に出た」「呼吸が苦しそう」「いつもと様子が違う」といった、緊急性がある場合に医師が自宅へ伺い、必要な処置や判断を行います。
つまり、往診は定期的に行うものではなく、「今、診察が必要」という場面で対応する医療です。訪問診療を行っている患者さんの場合、定期訪問の予定日でなくても、24時間体制の中で、必要に応じて往診を行います。
ちがいは「目的」と「役割」
訪問診療と往診の大きな違いは、訪問する頻度ではなく、医療としての目的や役割にあります。訪問診療は日常を支え、病状の安定を保つための医療です。一方、往診は体調の変化が起きたときに対応するための医療です。
定期的に状態を把握しているからこそ、いざという時にも「普段とはこう違うな」と適切な判断ができ、この二つが組み合わさることで在宅療養は成り立っています。
在宅療養では、「訪問診療」と「往診」を上手に組み合わせていくことがとても大切です。本来だったら入院しなければならなかった体調不良も、往診し適切に診察、治療を行うことで自宅で療養できることがあります。そのように在宅医療の可能性を広げていきたいと当院では考えています。
往診?救急車?どっちを呼ぶ?
訪問診療を始める際に、「救急車はもう呼べなくなるのでしょうか?」と心配される方もいます。また、「具合が悪くなったときに、先生を呼ぶべきか、救急車を呼ぶべきか迷います」といったご相談をいただくことも少なくありません。
往診は、訪問診療の体制の中で急な体調変化に対応するための診療ですが、すべての状況に対応できるわけではありません。症状が重く、緊急性が高い場合には、救急医療につなぐ判断が必要になることもあります。大切なのは、一人で判断しようとせず、まずは訪問診療の医療機関に連絡をすることです。その時々の状況に応じて、往診が適切か、救急対応が必要かを一緒に考えることが、在宅医療では重要になります。
ホームケアクリニック麻生では
私たちは、患者さんやご家族のさまざまな思いを受け止め、その方にとってどのような関わり方が最適かを、一緒に考える役割を担っています。在宅医療について分からないことや不安なことがあれば、いつでもご相談ください。
ホームケアクリニック麻生の井尻学見でした。
