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第8回 日本在宅医療連合学会を終えて~学びを、地域の安心につなげるために~

[2026.07.12]

こんにちは、ホームケアクリニック麻生の院長、井尻学見です。
2026年7月、札幌コンベンションセンターで開催された第8回日本在宅医療連合学会に参加しました。

今年は当院から25名のスタッフが参加し、4名が研究発表を行いました。


【ポスター発表】
〇在宅血小板輸血による緩和ケア症例から考える在宅血小板輸血の意義と課題(看護 砂原彩加)
〇訪問リハ開始時Barthel Index別にみた寝たきり後の訪問リハビリ継続期間の差(訪問リハ 田澤達彦)
〇クリニック併設訪問リハビリテーション事業所が口腔連携強化加算を活用して介護・歯科・医療連携を行った34例の検討(総務 齋藤未来)
〇訪問診療クリニックで歯科開設時に生じた算定・請求上の課題とその対応-業務フローの可視化と標準化による効率化の取り組み―(総務 田村しずか)

まずは、休日にもかかわらず参加してくれた職員の皆さん、本当にありがとうございました。そして、準備から当日の発表まで取り組んでくれた4名の発表者の皆さん、本当にお疲れ様でした。

日々の診療を続けながら研究をまとめ、人前で発表することは決して簡単なことではありません。その挑戦は、本人だけではなく、クリニック全体の財産になります。当院を代表して堂々と発表してくれたことを、とても誇りに思います。

 

学会の価値は、「知識を得ること」だけではありません

学会というと、新しい治療法や研究成果を学ぶ場というイメージがあるかもしれません。
もちろん、それも大切な目的です。

しかし、私が毎年もっとも価値を感じているのは、自院を客観的に見つめ直し、未来を考える機会になることです。

全国には、それぞれの地域で日々試行錯誤しながら、「もっと良い在宅医療はできないか」と挑戦を続けている仲間がいます。

高度ながん診療、神経難病、小児在宅、テクノロジーの活用、多職種連携、地域包括ケア──。
全国の最新の取り組みが一堂に集まり、その背景にある成功や失敗、苦労や工夫を直接聞くことができます。

学会の価値は、発表を聴くだけではありません。

発表後の短い意見交換や廊下での立ち話、久しぶりに再会した仲間との会話の中から、「自分たちの地域ではこうしている」「こんな課題がある」「その方法はうまくいった」といった、生きた情報を得られることも大きな魅力です。

論文やインターネットだけでは分からない、現場のリアルに触れられる時間です。

そして、そのような全国の取り組みと比較することで、
「当院はいまどの位置にいるのか」
「何が強みで、まだ何が足りないのか」
「これからどの方向へ進むべきなのか」
を、組織全体で考えることができます。

普段の診療では目の前の患者さんに全力で向き合っていますが、こうして少し立ち止まり、自院や地域医療を広い視点で見渡す時間は、私たちにとってとても大切な時間だと感じています。

 

2050年の在宅医療を見据えて

院長として、今回の学会は2050年の在宅医療を考える非常に良い機会になりました。

これから日本は人口減少が進み、高齢化はさらに進展します。病院の病床数も徐々に減少し、医療はこれまで以上に地域へ、そして在宅へと移行していくでしょう。

在宅医療は、「病院の代わり」ではありません。

地域で安心して暮らし続けられる社会を支える医療として、その役割や責任は今後さらに大きくなっていくと考えています。

社会が大きく変化する中でも、

「住み慣れた自宅で過ごしたい」

という患者さんやご家族の願いは、これからも変わらないはずです。

だからこそ、私たちは変化を恐れるのではなく、時代に合わせて進化し続けなければなりません。

高度な在宅医療に挑戦しながら、テクノロジーも活用し、より安全で持続可能な医療を提供する。

そして、在宅医療の可能性を少しずつ広げていく。

それが、これから私たちに求められる役割だと感じています。

 

「人とつながり、人と生きる」

当院の理念は、
「人とつながり、人と生きる ~感謝・尊敬・尊重~」
です。

 

私たちが支えているのは、病気だけではありません。

患者さんの暮らしであり、ご家族との時間であり、その人が積み重ねてきた人生そのものです。

「できれば自宅で暮らしたい。」
「最後まで家で過ごしたい。」

そんな想いに寄り添い、その願いを医療の力で支えていくことが、私たちの使命だと思っています。

だからこそ、医療だけでは答えが出ない場面にも数多く出会います。

今回、私はシンポジウムで「食」と「排泄」を通して生活の質(QOL)を支えることについてお話ししました。

「食べたい」という本人の想い。
誤嚥の危険性を心配するご家族。
医学的な安全性。

そのすべてが一致するとは限りません。

在宅医療では、このような医療倫理やACPに関わるジレンマが少なくありません。
私たちは医学的な正解だけを探すのではなく、その人らしい人生とは何かを、多職種で考え続ける存在でありたいと思っています。

 

学びを、明日の診療へ

学会は参加して終わるものではありません。

学んだことを地域へ持ち帰り、患者さんへ還元して初めて意味があります。

今回得た多くの学びを、スタッフ全員で共有し、

  • 高度在宅医療のさらなる充実
  • テクノロジーを活用した業務改善
  • 多職種カンファレンスの充実
  • 患者さんの思い・医療倫理を取り入れた意思決定支援

へとつなげていきます。

 

そして、これからも「人とつながり、人と生きる」という理念のもと、一人でも多くの患者さんが住み慣れたご自宅で安心して暮らし続けられるよう、地域の皆さまとともに歩んでまいります。

今後とも、ホームケアクリニック麻生をよろしくお願いいたします。

ホームケアクリニック麻生の井尻学見でした。

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