在宅での緩和ケアの大切さ~食事編~
こんにちは、ホームケアクリニック麻生の院長、井尻学見です。
今日は、前回に引き続き、在宅での緩和ケアについてお話ししたいと思います。
多くの方が「緩和ケア」という言葉を聞くと、すぐに「がんの末期治療」をイメージされる方が多いかもしれません。しかし、緩和ケアはそれだけではありません。患者さんの苦痛を予防し、緩和し、生活の質(QOL)を向上させるアプローチのことを言います。今回は、「食事」に焦点をあててお話します。
緩和ケアと食の楽しみ
緩和ケアを受ける患者さんは、身体的に非常に繊細な状況にあることが多いです。食欲が低下することもあれば、口にするものが限られる場合もあります。しかし、食事を通じて得られる満足感や幸せ感は、心のケアにもつながる大切な要素です。
緩和ケアでは、無理に食事を強制するのではなく、患者さんが 「食べたいもの」「食べやすいもの」を選べるようにすること が重要です。それは、患者さんが自分らしく生きるための大切な部分であり、食事を通じて心に寄り添うことができます。
人生の最期に何を食べる?
気軽に会話のテーマになりやすい質問ですよね。
実際、私も訪問診療をしていると
「人生の最期には美味しいものを食べたい」
「好きなものを食べさせたい」
という声をよく聞きます。
しかし、実際は、人生の最期は味覚が変わる方も多いのです。そうなると、「食事が楽しくない」「おいしくない」と感じる方もいらっしゃいます。
変わりやすい味覚は「甘い」「しょっぱい」です。
年齢が上がるにつれて、「濃い味が好きになった」という方もいるかもしれませんが、病気により更に感じ方が変わるのです。
そして、実は、感じやすい味覚は「からい」「すっぱい」なのです。
味覚が変わって困ったというときは、酢の物や、好きであればからいものを試してみるのも、ひとつの方法かもしれません。
このように当院では、患者さん一人ひとりが「その人らしく生きる」ことができるよう、身体的なケアだけではなく、心のケア、ご家族のケアも大切にしています。当院のスタッフとして、一緒に患者さんやご家族をサポートしてくださる方を募集しています!興味のある方は、是非当院までお問合せください。
ホームケアクリニック麻生の井尻学見でした。