脳梗塞・脳出血の方へ|退院後を支える生活リハビリ
こんにちは、ホームケアクリニック麻生の井尻学見です。
本日は、脳梗塞や脳血管などの病気を経験された方が退院後に安心して暮らせるよう支える当院の訪問リハビリの取り組みについてお話しします。
脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの脳血管疾患は、体のまひや言葉が出にくくなるなど後遺症が日常生活に長く影響を及ぼします。入院中は集中的なリハビリが行われますが、退院後、思うように身体が動かず不安を抱える方も少なくありません。
「もうリハビリは終わった」と感じる方もいらっしゃいますが、実は「退院=リハビリ終了」ではありません。退院後こそ、生活の中でのリハビリが必要になるのです。
退院後に生まれる空白期間と生活の困難
多くの患者さんは回復期リハビリ病棟での治療を終え、自宅へ戻られます。しかし、その後は通所リハビリが難しくなったり、体調や認知機能の問題から継続的なリハビリが困難になることもあります。
「ベッドからトイレまで移動するのが怖い」
「片手では着替えがうまくできない」
「お風呂に入るのが不安」
「外出するのはこわい」
こうした困りごとは、実際に自宅で過ごしてみて初めて気づくことが多いのです。こうした声に応えるのが訪問リハビリです。
医療との連携で「生活に根ざしたリハビリ」を
当院では医師と理学療法士、作業療法士が密に連携し、「その人らしい生活ができるように」をモットーに生活に寄り添った支援を行っています。病院のリハビリとは異なり、ご自宅という実際の生活環境で動作を確認し、改善に向けたサポートを提供しています。
具体的には、
・立ち上がりの練習
・ベッドからトイレへの移動練習
・麻痺のある手の使い方や日常動作への応用
・歩ける距離を伸ばす外出練習
・ご家族への介助指導や福祉用具の調整
身体機能の回復だけでなく、「できることを増やす」「生活しやすさを整える」「趣味活動や外出など理想の生活を一緒に目指す」ことを大切にしています。
家族の負担軽減にもつながる訪問リハビリ
訪問リハビリは、ご本人の自立を支えるだけでなく、ご家族の介助負担を軽くする効果もあります。日常生活動作には、食事、ベッドから車椅子への移乗、トイレ、入浴、歩行、階段昇降、着替えなどがあります。
たとえば、食事の介助にかかる時間が減るだけでも、日々のゆとりは大きく変わります。家族が食事介助をすべて介助していた生活から、患者さんが1人で食べられるようになったら、どうでしょうか。患者さんご本人にとっても、介護する家族にとっても、負担が軽減するのです。
また、中には普段の介護で疲れてしまっているため、訪問リハビリ中は別室でお休みされるご家族の方もいらっしゃいます。介護で疲弊してしまっているご家族の一時のリフレッシュやお悩み相談・愚痴相手としての役割も果たしています。
在宅生活を長く続けるうえで、家族が行っている日常生活動作の介助を少しでも減らすことはできないか、なにか工夫できることはないか、と日々考え、訪問リハビリを行っています。
これからも、在宅での脳血管リハビリを支えていきたい
当院の訪問リハビリチームには、脳卒中認定理学療法士が2名在籍しています。これは脳梗塞や脳出血のリハビリに特化した専門資格で、回復過程を深く理解した上で最適なリハビリ計画を立てられます。
また、当院の現在のリハビリスタッフは、ほぼ全員、脳卒中などの回復期リハを経験しています。専門知識を持つスタッフがチーム医療の一員として関わることで、より的確で効果的な支援ができることが当院の強みです。
今後も脳血管疾患の患者さんへの訪問リハビリに注力します。病院でのリハビリが終わっても、在宅でこそ始まる支援があります。その人らしい生活の再構築を支えるため、医療・介護・ご家族と連携しながら丁寧に関わっていきます。
ホームケアクリニック麻生の井尻学見でした。