訪問診療の現場で考える「ワークライフバランス」
こんにちは、ホームケアクリニック麻生の井尻学見です。
当院では、ご自宅での生活を支える訪問診療を通じて、「自分らしい最期」を迎えられるようお手伝いしています。今回は、そんな当院のワークライフバランスについてお話します。
医療の現場は「休みにくい」?
当院は、24時間365日対応できる体制をとっています。そのため「医療者にワークライフバランスなんて無理」 そう思われる方も多いかもしれません。
しかし「医療者こそ、持続可能な働き方が必要」だと感じています。
患者さんやご家族の生活に寄り添うには、医療者自身が健康で、心に余裕があることが大切です。疲れたままでは、良いケアはできません。これは、訪問診療という「生活の場」に入っていく医療だからこそ、より強く感じることでもあります。
よく患者さんの介護をしているご家族にも「ご家族が倒れては元も子もないので、休めるときは休んで欲しいです」とお伝えしています。
当院は24時間365日体制で、緊急時対応が必要な患者さんも積極的に受け入れています。
開院当初は、夜間対応する医師は院長の私だけでしたが、体制の継続には負担の分散が不可欠だと考えました。現在は、常勤医師が4名に増え、夜間対応に協力いただいています。スタッフも当初の6名から、現在は非常勤を含め30名以上に!
これからも、一人ひとりの負担を減らし、無理なく継続的に患者さんに対応できる体制を考え、整えていきます。
院長として取り組んでいること
私たちのクリニックでも、医師や看護師、スタッフ全員が無理なく、長く働ける環境を目指しています。
具体的には、
・勤務スケジュールの柔軟性を持たせる
・オンコール体制の見直し
・定期的な面談で業務状況と心身の状態を確認
・「休むこと」に罪悪感を持たない文化づくり
スタッフには仕事をするうえでの優先順位を「①自分自身の心身の健康、②自身のご家族のこと、これらが安定して③仕事に集中して取り組んで欲しい」と伝えています。
これらはすべて、患者さんへのより良い医療につながると信じています。
医療者も一人の人間として
医療者も、家族がいて、趣味があって、人生があります。「自分らしく働くこと」は、「患者さんが自分らしく生きること」を支えるための土台だと思います。
これからも、スタッフの人生と、地域の患者さんの人生、その両方を大切にできるクリニックを目指していきます。ホームケアクリニック麻生の井尻学見でした。